仕事や会社で困っていることはありませんか? 弁護士らが外国人労働者向け電話相談会開催

 

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●日本人より立場の弱い外国人労働者

 4月15(日)、日本で働く外国人労働者に向けて、電話相談会が行われた。

 相談に当たったのは、外国人労働者弁護団と外国人技能実習生問題弁護士連絡会で活動する弁護士十数人。また、労働問題に詳しい外国籍の人たちもボランティアで通訳を担当した。対応言語は、日本語、中国語、英語、スペイン語ポルトガル語ベトナム語ミャンマー語。通話料は無料。

 外国人労働者は雇用の調整弁として使われることが多く、不安定な有期雇用、非正規雇用が多い。言葉の問題もあり、労働条件を十分理解できていなかったり、日本の労働法制について知識が不十分なケースが多く見られる。日本人職員よりも立場が弱く、労働者としての権利が十分守られていない。不正やトラブルに対して、訴え出たり、労働組合など支援にたどりついたりすることが難しく、泣き寝入りしがちである。そんな外国人労働者に支援者や労働組合の存在を知らせようと始めたのが、この無料電話相談だ。

 

●解雇や雇い止め、労基法違反の外国人差別の相談も

当日の相談件数は16件。

国籍別では中国が7件で最多であり、以下南米(ペルー、ボリビア)5件、ベトナム1件、ネパール1件、欧米2件であった。

 雇用形態では、正規雇用は少なく(6人)、ほとんどがアルバイト、派遣社員契約社員など有期の非正規雇用であった。

相談内容は、賃金や残業代にかかわる内容が5件で最多。次いで解雇や雇い止めが3件、労働災害が2件、その他(パワハラ、資格外就労など)5件であった。

 相談に当たった指宿昭一弁護士は、今回の相談の特徴について次のように述べた。

派遣社員が多かったせいか、数は少ないものの雇い止めなど有期雇用特有の問題があった。また、外国人であることを理由にしたパワハラ、日本人との待遇の違いなど、明らかに外国人差別の問題もあった。労働者の国籍を理由として、賃金や労働時間その他の労働条件について差別的取り扱いをすることは労働基準法3条に違反する。日本語の電話相談窓口もあるので、困ったことがあったら連絡してほしい」

 

【主な相談内容】

 

○中国

 同僚から「机を開けられる」「人種差別的な発言をされる」などのパワハラを受けている。人事部にパワハラを相談したら、よけいひどくなった。

労働組合を紹介

 

○中国 有期雇用

「パフォーマンスが低い」という理由で雇い止めになった。

労働組合を紹介

 

○中国

 賃金不払い

労働組合を紹介

 

○中国 50代 正社員

 日本の一部上場企業に勤務。中国に赴任することになったが、今年から社内規定が変更になり、自分の国に赴任するときは海外勤務手当が出なくなった。

→弁護士が対応

 

○中国 正社員

 海外派遣されたが、日本人には手当が出るのに中国人には出ない。

→弁護士が対応

 

○中国 IT系企業 正社員

 仕事をやめると賠償金請求されるといわれた。契約書にも、離職する際、賠償金を支払う旨の文言が入っていた。

 

○中国 正社員

 留学生として来日し、2年前に就職した。雇用契約では開発に従事するはずだったが、工場で単純労働をやらされている。給与も年収330万円のはずが200万円ぐらいしかもらえない。

 

○南米 滋賀県在住 アルバイト 63歳

 今の会社ではアルバイトには有給休暇が認められていない。もし、認められるなら、有給休暇の分をお金で払ってほしい。高齢だし、いずれ帰国する予定なので、少しでもお金を貯めたい。

→「できない」と回答

 

○ネパール レストラン勤務

 在留資格は「技術・人文知識・国際業務」なのに、レストランでコックをやらされている。雇用先もぐるになっている。資格外就労なので、入管にばれたら帰国させられる。日本で働き続けたいので、どうしたらいいか?

→レストランをやめるしかない。退職金が出るか確認するようにアドバイス

 

ボリビア 派遣社員 労働災害

 自動車部品工場で労働中に事故にあった。

 

○ジャマイカ 語学学校講師 契約社員 ハラスメント

 アパートに侵入された。

 

○ペルー 派遣社員

 3か月間の労働契約の更新を続けてきて、3年が過ぎた。日本で病気になり、病院で薬をもらったがよくならず、繰り返している。治療に専念したい。

→旧派遣法では3年の雇用期間を超えれば直接雇用に切り替えてもらえる。労働局に旧派遣法の労働契約申し込み義務を主張するようアドバイス

 

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 なお、今回の相談者は、中・長期の就労ビザや、定住者資格を持つ南米系日系人ばかりであり、技能実習生や留学生の相談はなかった。

また、言語では、通訳を必要としたのは南米系(スペイン語)5人、中国語3人、英語1人。意外にも日本語での対応は6件と最多で、外国語を上回った。なお、南米系5人のうち5人とも日本語ではなくスペイン語の通訳を必要とした。

 国籍によって就労先の違い、言語能力にも違いがある。

中国人はIT系をはじめとする企業のオフィスで日本人と一緒に働く。ペルー人やボリビア人はアルバイトや派遣社員として工場で働く。ネパールはレストランでコック、という感じか。中国人の正規職員やレストランで働くネパール人は日本語でコミュニケーションがとれるが、工場で働く南米系の人は得意でない。

外国人支援に当たる人から聞いたり、本からの知識で知ってはいたが、このデータからでもよくわかった。

 

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外国人労働者弁護団では、日常的に電話相談に応じている。

 

電話 03(6427)5902

平日 10時~17時まで

対応言語 日本語のみf:id:mimikuro:20180428115000j:plain

詳細はhttps://grb2012.wordpress.com/